クリスマスプレゼント - マスターマント

2018/12/17 (Mon) 14:10:45

　その日、貴方はアルマスに連れられてとある大きな屋敷のクリスマスパーティーに参加していた。冒険者と協力関係になる大商人のパーティーらしく気前よく料理や酒を振るい会場には所狭しと豪華な装飾が並べられていた。貴方も普段の冒険装備からきらびやかな衣装に着替えパーティーを楽しんでいたその時。
「レディース　アン―ド　ジェントルマーン！　ただいまよりスペシャルゲームを始めまーす！！」
　声がする方、空中には一人の道化師の格好をした人物がいた。声色や体格は少年の様だが仮面をしていてその実を確かめることはできない。
「僕は闇の遊戯者、ダークゲームマスター。自分でそう言う風に名乗ったことは無いけどそう言う風にみんなの間で知られてるみたいだからそう名乗ったほうが分かりやすくていいよね」
　ことかなげに芝居がかった大袈裟な身振り手振りで自己紹介する道化師。その言葉にパーティーの人々の間に動揺が走る。
「なん……だと……？」
　苦々しくアルマスが呟く。闇の遊戯者、ダークゲームマスター：ＤＧＭ。この世界の各所でその存在、活動が確認されながら実態がまるでつかめていない謎の集団。名目上は「闇ギルド」にカテゴリーざれ複数人が確認されているが本当に集団であるのか同一の事を行う個人なのかすらも不明。いわば囁かれる都市伝説の様な存在。
　その行動内容は突然目の前に現れてはゲームを仕掛けてくるという訳の判らないもの。ゲームの内容、ルール、賞品は様々だが確かに癒えることはその内容が極めて厄介な事だ。そのゲームにどんなものが必要であってもそれを具現化して実現できる力を持っているのだ。その行動にはおよそ遊戯者自身に利益があるとは思えず遊戯者自身まるで快楽主義の人間の様に振舞っている一方、動作の全てが決められた演技の様にまるで人間味が無いのだ。そのことからとある賢者は彼らはこの世界における事象の様なもので行動そのものが存在理由なのではないかと言う説を唱えているが確証は得られていない。
　その謎の存在である闇の遊戯者が目の前に出現したのだ。報告にある限り遊戯者はいかなる物理攻撃も魔法攻撃も受け付けず、撃退するには奴の出すゲームを行うしかないのだ。
「フフフ　ゲームは簡単。宝さがし。」
　道化師の手の中に空箱とクリスマスベルが出現し、その箱の中にベルを入れるとリボンはひとりでに結ばれる。
「制限時間内に箱を開けてベルを見つけ出せば君たちの勝ちだよ……さぁ……」
　道化師がそう言って手を振るうと何十何百と言う無数のプレゼントボックスが出現する。「ゲ―ム開始だ！！」
　その言葉と共に無数のプレゼントボックスは会場だけでなく、大商人の屋敷の庭全体に飛び散って行ったのだった。